- 仕事をまたクビになった
- 継続的に働けない
- 業務内容が覚えられない
子どもの頃はそうではなかったのに、
大人になって自分は学習障害なんじゃないだろうか?
と思うようになった方もおられるのではないでしょうか。
一般的には、学習障害は、小学校や中学校などの義務教育の中で、
学校の授業についていけないなどの状況から気がつくということがあります。
実はそれだけでなく、子どもの頃はそうでもなかったのに、
大人になって、学習障害の症状が出てしまう方もおられます。
また、学習障害が原因で、二次障害というわれる別の症状が引き起こされてしまうこともあります。
「2次障害」とは、学習障害によって、様々なことがうまくいかないため、それがストレスなどになり、
その結果起こってしまう、2次的な障害になります。
2次障害には、
- ADHD
- うつ病
- 気分障害
といったものがあります。
つまり、学習障害は、それだけによるご苦労だけでなく、
2次障害という別のものによる体調不良などが起こる可能性があります。
- 学習障害をなんとかしたい!
- 学習障害の原因ってなに?
- なぜ、大人になってから学習障害に?
といった疑問を持たれる方もおられるかもしれません。
まずは、学習障害の原因も分からなきゃ、対処のしようがありませんよね。
そこで本記事では、大人の学習障害の原因について、わかりやすく、まとめました。
大人の学習障害(LD)の原因とは
大人の学習障害の原因について、まず結論を述べておきますね。
大人の学習障害の原因には、
- 学習障害の概念の普及
- 脳内のつながりの不具合
の2点が考えられます。
脳内のつながりの不具合については、
さらに様々な原因が考えられますので、
詳細は以下にまとめようと思います。
まずは学習障害の概念の普及からまとめますね。
学習障害という概念の普及
1990年以前には、学習障害という言葉はありませんでした。
現在であれば学習障害と思われる症状も、
当時の義務教育の現場では、そういった概念がありませんでした。
なので、勉強はできないけれど、それが障害だという考え方がありませんでした。
その後、2002年には、全国の教師にアンケート調査が行われ、
- 発達障害児と思われる子ども
が、全児童の6.3%にのぼることが把握されました。
これを1つのきっかけにして、教育現場に、
- 特別支援教育システム
が普及していくことになります。
学習障害は、発達障害の1つで、
学習障害が広く知られるようになったのもこの時期となります。
つまり、
1990年代以前に義務教育を受けた方は、
教育現場で、学習障害という考えがあまり普及していなかったため、
見逃されていた可能性があります。
社会に出た後に、世の中に学習障害と概念が普及したため、
学習障害の特徴を知ると、自分に当てはまっている
として「大人になって気づいた」という場合がありえます。
というわけで、大人の学習障害の1つ目の原因は、
- 学習障害の概念の普及時期
が考えられます。
脳内のつながりの不具合
学習障害は、脳の仕組みから理解されてきています。
学習障害の原因の1つは、脳のシナプスの不具合が考えられます。
学習障害をきちんと理解するためには、脳の仕組みを知っておく必要があります。
脳の仕組みをサクッと説明
脳の仕組みを、シンプルに説明します。
例えると、脳は、1つの町になっています。
町は、様々な専門に分かれていますよね。
- 学校
- 郵便局
- コンビニ
といった感じです。
脳の中も、それぞれ専門に分かれているんです。
- 視覚のための部分
- 記憶のための部分
- 言葉のための部分
- ・・・
といった感じです。
つまり、私たちが学習するとき、
- 教科書を見るとき、脳の視覚担当部分
- 教科書の単語の意味を思い出すとき、脳の記憶の部分
- 教科書を読むときは、脳の言語の部分
といった感じで、うまく連携させて使っているわけです。
目で見た情報を、脳の視覚担当が処理し、
その情報に基づいて、記憶担当が記憶を呼び起こします。
そして、呼び起こした記憶を使って、言葉を音に変えて声にします。
このように、脳内の連携プレーによって、教科書の音読ができるわけです。
学校から郵便局への移動は、道がつながっている必要がありますし、
郵便局からコンビニへの移動も道がつながっている必要があります。
これらの道がつながっているから、学校や郵便局、コンビニにいくことができ、快適な暮らしができるわけです。
逆に道がつながっていなかったら、不便ですよね。
それぞれが道でつながっていることが重要なわけです。
実は、脳でも同じことなんです。
脳の各部分が、しっかりつながっていることが重要です。
つながっていることで、音読ができるように、様々な機能を発揮することができます。
他人とコミュニケーションを取ることなども、
脳内の様々な部分を連携させて使うことで可能となります。
脳内のつながりが、
重要な機能の実現を助けているわけです
というわけで、脳の仕組みについては、理解していただけたかと思います。
大人の学習障害を理解するには、脳の可塑性(かそせい)についても知る必要があります。
というわけで、脳の「可塑性」について説明したいと思います。
脳の「可塑性(かそせい)」とは
上で、脳の中には、各部分に専門の役割があり、
部分同士がうまくつながることで、機能を果たすと言いました。
部分同士のつながり方を考えてみると、
いろいろな場合が考えられます。
学校→郵便局→コンビニ
という道では、2つのつながりがあります。
- 学校と郵便局につながり
- 郵便局とコンビニにつながり
しかし、道の作り方のパターンには、他のパターンもありますよね。
学校と郵便局のつながりをなくしたり、
学校とコンビニのつながりを作ったりすることで、
「つながりのパターン」を変えることができます。
脳内でも同じことで、
脳内の細胞同士のつながりを変えることができるんです。
これを「脳の可塑性」と呼びます。
音読に必要なつながり方が増えれば、
音読がスムーズに上手にできるようになります。
逆に、音読に必要なつながりが減れば、
音読が難しかったり、苦手になります。
つまり、脳内のつながり方によって、
できること、苦手なこと
得意なこと、不得意なこと
が生まれるということなんです。
学習障害の原因の1つには、
- 脳内のつながりをうまく作れないこと
が挙げられます。
学習障害の原因の1つは、
脳のつながり方の不具合
がある、というわけです。
では、なぜ、脳のつながりがうまくいかないんでしょうか?
大人の学習障害に絞って、説明したいと思います。
脳内のつながり方に影響を与えるものとは?
脳内のつながりは、お母さんのお腹にいるときから少しずつできていきます。
そして生まれてから数年で完成すると言われています。
詳しくは別の機会に説明しようと思いますが、
(個人差が大きいですが)10歳くらいで(大まかに)完成すると考えらえています。
その後は、
大まかにできたものを調整しながら
新しいことを獲得していくことになります。
英会話を勉強すれば、英会話用の脳内のつながりが増えて、英会話が上達したり、
数学を勉強し続ければ、数学用の脳内のつながりが増えて、数学が上達する、
といった感じです。
これらは、脳内のつながりが自然に増えたり減ったりする例となります。
ところが、脳内のつながり、を消してしまう化学物質があることが知られています。
脳内の神経細胞のつながりを消してしまう化学物質
実は、脳内のつながりを減らすといわれる化学物質があります。
それらの化学物質は特殊なものでなく、
私たちの生活のごく身近に存在しています。
どんなものかというと、
例えば、「農薬」や「大気汚染物質」があります。
また、ポリ塩化ビフェニル(PCB)と呼ばれる物質も影響が大きいことが知られています。
他にも、水銀やカドミウム、ヒ素、鉛などの重金属も原因と考えられています。
これらの物質は1つひとつでも大量に摂取すると、悪影響が出ます。
また、少量なら影響が少なくても、いくつもの物質を複合的に摂取することで、その影響で、人体への影響が強くなる場合もあります。
大人になって、知らず知らずにこれらの摂取が多くなれば、脳内のつながりに変化を与える可能性があります。
脳内のつながりが減れば、今までうまくできていたことができにくくなる可能性も出てきます。
歳をとると誰でも忘れっぽくなりますが、
これは記憶を扱う部分のつながりが、減ってくるからです。
これと同じことが、上の有害物質を摂取することで起こってしまうわけです。
つまり、大人になって学習障害になった場合の原因の1つには、
- 有害な物質の影響
が考えられます。
したがって、有害物質が原因の学習障害の場合には、
これらの有害な物質を避けることで、
回復や予防の第一歩となります。
まとめ
大人の学習障害の原因には、
- 学習障害の概念の普及
- 脳内のつながりの不具合
の2点が考えられました。
脳内のつながりの不具合については、
有害物質の影響があり得ることをご説明しました。
というわけで、本記事では、
大人の学習障害の原因について、わかりやすく、まとめました。
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