「レムデシビル」とは?開発者は誰?なぜウイルスに効くの?作用機序とは?副作用はあるの?など、わかりやすくまとめました

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レムデシビルは、これまで、エボラ出血熱などのウイルス治療薬として、開発がされてきました。

ここにきてコロナウイルスに対する治療に使えるようになりました。

そこで本記事では、

レムデシビルについて、

  • 開発者はだれ?
  • どういう仕組みで効くの(作用機序とは)?
  • 副作用はある?

といった点について、わかりやすくまとめたいと思います。

 

*注意

 

本来、薬や、薬の候補物質について、

 

”効く”や”効果がある”といった表現は漠然としていて不十分です。

 

正しくは、より具体的に、

  • 誰(年齢・性別など)に対して
  • どのような条件や投与方法(期間や量など)で
  • どんな変化があったか(症状や検査結果、数値など)

について示す必要があります。

 

しかし専門でない方が、いきなり細かい情報をたくさん学ぶのは大変です。

 

そこでここでは、わかりやすさを優先し、概要を理解してもらうことを目的の1つとしています。

 

その後で、より正しい・具体的な情報を理解するための基礎にしていただけたらと思っています。

 

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「レムデシビル」とは?開発者は誰?なぜウイルスに効くの?作用機序とは?副作用はあるの?など、わかりやすくまとめました

レムデシビルとは?

レムデシビルは、ウイルスが引き起こす病気に対する薬の1つです。

ウイルスが引き起こす病気にはいろいろあります。

レムデシビルが効く(可能性がある)のは、

  • エボラ出血熱
  • マールブルグウイルス
  • ニパウイルス
  • ヘンドラウイルス

というデータが出ています。

その後、コロナウイルスに対しての効果について、現在調べられています。

コロナウイルス感染拡大の差し迫った状況から、

制度的に、治療薬として使えるようになってきています。

 

 

レムデシビルの開発者って誰?

レムデシビルの開発者については、以下のレポートにあります↓

2015年 アメリカ陸軍感染症医学研究所の報告

以下は、報告書の要約になります

アカゲザルにエボラ出血熱ウイルスを感染させた後、レムデシビル(GS-5734)を3日間投与すると、ウイルスの増殖を防いだ

この実験結果から、レムデシビルを開発していく価値があると結論付けた経緯がわかります。

つまり、レムデシビル(GS-5734)は、薬の種として有望だと考えられた、わけです。

(ボクシングジムの会長が、ボクシングの才能がありそうな若者に出会ったような感じです)

 

Travis Warren 博士によると、上記の仕事は、

  • アメリカ陸軍感染症医学研究所
  • ギリアドサイエンシズ
  • アメリカ疾病予防管理センター(CDC)

が関わったとのことです。

ギリアドサイゼンシズが持つ化合物ライブラリを使い、

CDCが初期スクリーニングをしたとのことです。

 

化合物ライブラリ」とは、多くの種類の化合物を集めたものです。

 

薬を開発するときは、たくさんの種類の化合物について、1つひとつ、薬になりそうか試していきます。

 

この試す実験を「スクリーニング」といいます。

 

あらかじめ多くの化合物をまとめて所有しておくことで、試す作業(スクリーニング)を効率的に行うことができます。

 

その後、薬の種として見つかったGS-5734(レムデシビルの素)は、

  • ギリアドサイエンシズ
  • アメリカ陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)

によって、

より良い化合物に改良され、評価され直しました。

(改良とは、例えば、ボクシングジムの会長が、素質のある選手を見つけた後、ジムでトレーニングして、良い選手に育てていく感じです)

 

 

次の段階として、以下の情報が書かれています。

Sina Bravari 博士(USAMRIID)によると、

アメリカ陸軍感染症医学研究所では、細胞培養や動物モデルを使い、

様々な病原体(エボラ出血熱を含む)に対して、

GS-5734の効果が検証されたとのことです。

細胞培養実験

様々なウイルス病原体に対して、効果があったとのことです。

例えば、

  • エボラ出血熱(様々な株)
  • マールブルグ熱ウイルス
  • ラッサウイルス
  • 中東呼吸器症候群(MERS)ウイルス

といったものです。

エボラ出血熱ウイルスやマールブルグ熱ウイルスは電子顕微鏡で見ると、

ウイルスの形が糸状になっているという共通点があります。

これらは「糸状ウイルス」と呼ばれています。

 

 

動物モデル実験

サルをエボラウイスルに感染させた後、

GS-5734(レムデシビルの素)を3日間投与すると、100%生存しました。

また、ウイルスの感染や内部出血や組織ダメージなどの所見も大幅に減りました。

 

(細胞培養実験は、ボクシングでいうジム内のスパーリング、動物モデルは、小さな大会に出場するようなイメージかと思います。

レムデシビルは、どちらも良い戦績を収めたわけです)

 

 

Sina Bravari 博士(USAMRIID)によると、

エボラウイルスに対して、感染後に効果がある小分子発見の最初の例だと言っています。

ヒト以外の霊長類での実験で効果が示された点も重要です。

 

以上から、エボラ出血熱ウイルスや他のウイルスに対する薬としてさらに開発していく価値があると考えられるとのことです(2015年当時)。

 

Tomas Cihlar 博士(ギリアド)によると、

GS-5734は、(2015年当時)ギリアドサイエンシズにおいて、

臨床試験の第1相試験が行われています。

 

臨床試験の第1相試験とは

 

健常者への投与により、候補物質の

  • ヒトへの安全性の確認
  • 体内での振る舞い

を調べる試験の事です。

臨床試験というのは、ボクシングでいうところの、有名な大会に出場することです。

厳しい戦いに勝ち残らないと薬にはなれません。

 

レムデシビルの開発者

アメリカ陸軍感染症医学研究所の報告書に記載されている、以下のコントリビューター(30人)と考えられます。

Contributors: Travis Warren, Ph.D., Robert Jordan, Ph.D., Michael Lo, Ph.D., Veronica Soloveva, Ph.D., Adrian Ray, Ph.D., Roy Bannister, Ph.D., Richard Mackman, Ph.D., Michel Perron, Ph.D., Kirsten Stray, B.S., Joy Feng, Ph.D., Yili Xu, Ph.D., Jay Wells, Ph.D., Kelly Stuthman, Ph.D., Laura Gomba, M.B.A., M.S., Lisa Welch, Ph.D., Edward Doerffler, Ph.D., Lijun Zhang, Ph.D., Kwon Chun, Ph.D., Hon Hui, Ph.D., Sean Neville, Ph.D., Willard Lew, Ph.D., Yeojin Park, Ph.D., Darius Babusis, Ph.D., Robert Strickley, Ph.D., Pamela Wong, Ph.D., Swami Swaminathan, Ph.D., William Lee, Ph.D., Douglas Mayers, Ph.D., Tomas Cihlar, Ph.D., and Sina Bavari, Ph.D.

 

ちなみに、この成果は、学術雑誌「Nature」に掲載されています↓

Therapeutic efficacy of the small molecule GS-5734 against Ebola virus in rhesus monkeys

 

 

 

 

レムデシビルがウイルスに効く仕組み(作用機序)とは?

レムデシビルはウイルスの増殖を妨害することで、薬として効きます。

増殖を妨害するやり方にはいろいろあります。

レムデシビルが効く仕組みを知るには、ウイルスの増殖の仕組みを知る必要があります。

コロナウイルスの増え方とは?

コロナウイルスは、以下のように増えていきます。

[1], 細胞の中に侵入する

[2], ウイルスの遺伝子からタンパク質が作られる

[3], 作られたタンパク質などから、ウイルスの遺伝子(RNA)が合成される

[4], 作られたタンパクや遺伝子(RNA)から子孫ウイルスができる

[5], 子孫ウイルスが、細胞外に出ていく

 

以下でそれぞれ解説しますね。

[1], 細胞の中に侵入する

コロナウイルスは、何かにくっついていたり、空気中にエアロゾルとして存在しています。

これを人が触ったり、空気として吸い込むことで感染がスタートします。

しかし、コロナウイルスを触っても吸い込んでも、

ウイルスが細胞の中に入らなければ、感染はしないと考えられています。

コロナウイルスが感染するには、まず細胞の中に侵入する必要があります。

侵入の入り口の扉は、ACE2受容体(エースツーじゅようたいと読みます)と呼ばれるタンパク質になります。

コロナウイルスは、ACE2受容体にくっつくことで、細胞の中に入ることができます。

細胞に侵入したコロナウイルスは、自分の分身を増やしていきます。

これを「増殖」と呼びます。

増殖の第一段階が、遺伝子のコピーです。

[2], ウイルスの遺伝子からタンパク質が作られる

コロナウイルスは、RNA(あーるえぬえー)と呼ばれる物質を持っています。

RNAに、コロナウイルスの設計図が書き込まれています。

RNAという設計図を使って、タンパク質が作られます。

ウイルスは細胞内に侵入すると、自分のRNA使って、侵入した細胞の中のタンパク質を借りて、タンパク質を作っていきます。

 

[3], 作られたタンパク質を使い、ウイルスの遺伝子(RNA)が合成される

ウイルスの遺伝子から作られたタンパク質は、

今度は自分の遺伝子を作り出す装置として働きます。

ウイルスの遺伝子(RNA)が新たに作れらていきます。

 

[4], 作られたタンパクや遺伝子(RNA)から子孫ウイルスができる
[5], 子孫ウイルスが、細胞外に出ていく

 

このようにして、コロナウイルスは、増殖していくわけです。

では、レムデシビルは、どうやって増殖を防いでいるのでしょうか。

レムデシビルの作用機序とは(なぜ効くの)?

結論から言うと、

レムデシビルは

[3]のところで、ウイルスのRNAを作らせないようにします

 

上の説明で、ウイルスが増殖するにはウイルスのRNAが作られる必要がある、と書きました。

RNAは、細長い物質で、たくさんの部品がつながってできています。

RNAを作るには、1つひとつの部品をくっつけていく作業が繰り返し行われます。

以下がその仕組みになります↓

(0), RNAを伸ばすタンパクが、RNAをくっつける

 

(1), RNAを伸ばすタンパクが、RNAの部品をくっつける

 

(2), RNAを伸ばすタンパクが、RNAと、部品をくっつける(部品1個分、RNAが長くなる)

 

(3), (1)に戻る

これが行われることで、RNAの長さが伸びていき、

より長いRNAが出来上がっていきます。

この中で重要な働きをする、RNAを伸ばすタンパク質のことを、「RNA複製酵素」と呼びます。

 

(1)で、RNA複製酵素は、RNAを合成するために、部品をくっつけます。

レムデシビルは、RNAの部品に似た物質です。

レムデシビルは、RNAの部品に似てるので、RNA複製酵素にくっつきます。

一方で、レムデシビルは部品としては不良品なので、

RNA複製酵素は(2)のようにRNAを長くすることができません。

 

レムデシビルのある時、RNA複製酵素は以下のようになります。

(0), RNAをくっつける

 

(1), RNAの部品(レムデシビル)をくっつける

 

(2), RNAに、部品(レムデシビル)がくっつかない(1個分RNAが長くならない

 

(3), RNAの複製(コピー)は止まる

 

RNAがコピーされなかったら、必要なRNAができないので、ウイルスは増殖できない、というのがポイントになります。

 

レムデシビルは、RNA複製酵素の働きを邪魔することでウイルスが増えることを防いでいるわけです。

 

実は、アビガンも同じ仕組みでウイルスを封じ込めるのではないかと期待されています。

 

 

詳細は以下のScienceの論文で報告されています↓

Structural basis for inhibition of the RNA-dependent RNA polymerase from SARS-CoV-2 by remdesivir

 

 

 

 

 

レムデシビルの副作用とは?(2020.4.NEJMより)

レムデシビルは、承認された薬ではありません。

しかしコロナウイルスの感染拡大での差し迫った要請によって、

例外的に利用が認められ、投与されました。

その結果が、2020.4 のNew England Journal of Medicine 誌に発表されました。

その中に副作用の報告もありますので、まとめたいと思います。

レムデシビルによる報告された副作用

頻度の多いものとして以下のものがありました。

  • 肝機能障害
  • 下痢
  • 発疹(皮膚に現れるもの(皮疹))
  • 腎機能障害

その他に重篤なものとして以下のものがありました。

  • 多臓器不全
  • 敗血症性ショック
  • 急性腎障害
  • 低血圧

 

 

 

レムデシビル(商品名:ベクルリー)の添付文書

レムデシビルは、以下のようになっています。

添付文書は(こちら

 

 

 

 

まとめ

  • レムデシビルは、ウイルスに対して幅広く効果がありそうな物質
  • レムデシビルのヒトへの効果は現在調査中
  • レムデシビルのコロナウイルスへの作用機構は、RNA複製阻害による
  • レムデシビルの副作用には肝機能障害などがある

 

 

 

 

 

というわけで、本記事では、

レムデシビルについて、

  • 開発者はだれ?
  • どういう仕組みで効くの(作用機序)?
  • 副作用はある?

といった点について、わかりやすくまとめました。

 

コロナ レムデシビル

 

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