第1話では、主に、ワーキングメモリとは?について、主に説明しました。
『「学習障害」に関係ある「ワーキングメモリ」とは?またADHDとの関係は?(第1話)』
この第2話では、ワーキングメモリと「学習」の関係についてまとめ、
なぜ、学習障害の原因の1つに、ワーキングメモリの働きがあるのか、
わかりやすくまとめました。
「学習障害」に関係ある「ワーキングメモリ」とは?またADHDとの関係は?(第2話)
ワーキングメモリと学習の関係とは
学習というのは、昔から、読み・書き・そろばん、というように、
- 読むこと
- 書くこと
- 計算すること
の3つがもっとも基本となります。
これら3つのすべてにワーキングメモリが関わっています。
「読む」ことと「ワーキングメモリ」の関係
「読む」ということを、細かく分けて考えてみます。
例えば、国語の教科書を読むとすると、
まず、教科書の文に書かれている文字を1文字ずつ見て、
ワーキングメモリの中に記憶します。
例えば、文章が「むかしむかしあるところに・・・」とあれば、
む・か・し・む・・・
の順に1文字ずつワーキングメモリに蓄えていくわけです。
ワーキングメモリに蓄えられた文字は、これまでに学んで知っている文字と比較されます。
これまで知っている記憶というのは、「長期記憶」という言い方をしています。
長期記憶というのは、記憶が安定した状態で、
10年以上忘れない記憶のことです。
ワーキングメモリに入ってきた文字情報は、
長期記憶にある、知っている文字の中に同じ文字がないか照合されます。
同じものが見つかれば、この文字はこれだ!わかった!となります。
すると、「む」という文字の音が長期記憶から引き出されてきて、ワーキングメモリに音の情報として置かれます。
このようにして、「む」という文字が、こういう音で発音する(読む)、ということがわかります。
これで読む準備が整ったことになります。
そしてワーキングメモリにある「む」の音の情報は、
発生するための筋肉を動かす命令によって、音として発声され、外に出されます。
こうして、読みが完成します。
このように、
1文字読むだけでも、
ワーキングメモリが深く関わっていることがわかるかと思います
上の例の「読み」でわかってもらったように、
他の学習である「書く」や「計算する」でも、ワーキングメモリが多いに関わっています。
ワーキングメモリと学習障害
ワーキングメモリは、脳細胞のネットワークとして成り立っています。
脳細胞1つ1つの働きではなくて、
脳細胞同士のつながり具合による、ということなんです。
どういうことか、わかりにくいと思うので、
例えで説明しますね
中学校で、1クラス30−40人、生徒さんがいたとします。
生徒さん1人1人にはそれぞれの個性がありますよね。
また、クラスで話し合って、多数決を取って決めたことなど、クラスとしての個性もありますよね
脳の仕組みでいうと、生徒さん1人1人は脳細胞1つ1つで、
クラスは、生徒さん同士のネットワークで、
これが脳細胞のネットワークに対応します。
ワーキングメモリは、脳細胞のネットワークと言いました。
つまり上の例でいうと、ワーキングメモリは、クラスでの多数決、つまり、生徒さん同士のネットワークによる仕組み、と理解することができます。
ここで、生徒さん同士の交流が活発だったら、ネットワークもスムーズに作れることがわかります。
しかし、交流があまりないと、ネットワークがうまく働かないことになります。
脳のネットワークがうまく働かない状態、
これがワーキングメモリがうまく働かない状態、と考えられます。
このネットワークがうまくいっていない状態が、
ワーキングメモリの働きが弱いことによる学習障害と言えます。
ワーキングメモリとADHD(注意欠陥・多動障害)
次を読む:「学習障害」に関係ある「ワーキングメモリ」とは?またADHDとの関係は?(第3話)
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